『 ゆりの木荘の子どもたち』
・富安陽子 著
・佐竹美保 絵
・講談社
「ゆりの木荘の子どもたち」紹介
「有料老人ホーム・ゆりの木荘」のおばあさんおじいさんたちがタイムスリップして全員子どもに。見た目は子ども、中身はお年寄りのメンバーが、77年前の出来事の謎を解いてゆきます。
謎解き要素が盛り沢山で、最後は一気読み間違いなしです。
「私たちはもう十分幸運じゃないの。あの戦争の四年間を生きぬいて、こおんな年まで元気でいるんだから。あんた、これ以上、どんな幸運がほしいって言うの?」
「いくつになっても、年をとっても、人間は前にすすまなくっちゃいけないのよ。ひとところにじっとしてるなんて、たいくつなだけよ。」
大人が読めば、87歳のおばあちゃんの言葉に背筋が伸びます。
読書感想文の手がかり
字の多い本が苦手な子でも飽きずに読める「ゆりの木荘の子どもたち」。
その秘密はテンポよく進むストーリー構成と、読者を引きつけるまさかの展開にあります。
その「まさか」は、表紙・タイトルと中身とのギャップにもあります。
表紙をじっと見つめて……「ゆりの木荘」って何? この子たちって誰? そして裏表紙の子どもは一体誰? と、想像を膨らませてから本を開くと、よりいっそうお話にのめり込めるかも。まずはそのギャップを感想文の導入にしてしまう、というのも一つの方法です。
次に「サクラさん」と「座敷童」の立場に立って物事を考えてみましょう。お互いの気持ち、つまり他者の視点に立ってものごとを考えてみるのです。中学入試では、主人公だけでなく、複数の登場人物の心情を問われるのが常です。
ひいおじいちゃん・ひいおばあちゃんなど戦争を体験した方に子どもの頃のお話を聞いたり自分で調べたりすると、本の主題にぐっと迫った読書感想文が書けるでしょう。
最後は、77年前の約束が果たせたことをどう感じたか。
座敷童は今後どうなるだろう、ゆりの木荘のおじいちゃんおばあちゃんは今回の経験をどう思っているのだろうかーー想像を思いっきり膨らませてラストは締めくくります。
・本を読んだ → 体験してみた・聞いてみた・調べてみた → 学んだ
・表紙とタイトルから想像した → 実際読んだ → 感動した
・登場人物と自分を比較した → 分かった
を組み合わせるといいでしょう。
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