本の紹介『カラスのいいぶん』




『カラスのいいぶん 人と生きることをえらんだ鳥』

・嶋田 泰子 著

・岡本 順 絵

・童心社


「カラスのいいぶん」紹介

「カラスだって主張したいんだ!」そんな言葉が聞こえてきそうな愉快なタイトルです。

悪いイメージばかりがつきまとうカラスですが本当は?……第1章「カラスなんて大きらいだ!」から始まり、「さよなら、元気でね」の章で終わるこの本は、賢いゆえに人間に疎まれるカラスの「いいぶん」に耳を傾け、最後はカラスと仲良くなってしまう筆者のカラス愛がこもった一冊です。


読書感想文の手がかり

現実世界では、人間が何をしていようとも彼らの都合でカラスは鳴き、バサバサと翼を広げて飛んできます。しかし、物語やドラマの中であれば、それだけで先の不幸な展開が見えてきます。

授業ではこれを「暗示・象徴」とし、フィクションであるお話だから成せる業であること、物語の展開や登場人物の気持ちをそれとなく示す装置であることを子どもたちに伝えています。中学受験では必須項目です。もちろん読書感想文ではそうしたことを知らなくても書けますが、不吉なイメージを持っておいたほうが感想文もまとまりが良くなるかもしれません。


不吉どころか実際に、カラスから被害を被る筆者。最初は腹が立っていたけれど、観察をしていくうちにだんだんカラスの「いいぶん」に耳を傾けるようになり、最後はカラスと仲良くなってしまいます。


「カラスには良いイメージがなかったけれど、カラスのことがよく分かった」「カラスって怖いと思っていたけれど、賢いんだな」「人間が勝手に嫌ってかわいそう」「カラスと共存できる方法はないのだろうか」このように感情が揺さぶられるとずいぶん書きやすくなるでしょう。


・最初は知らなかった → 本を読んで知った → 学んだ

・体験した・聞いた → 本を読んだ → 同意した・学んだ


さらに深い読書感想文を目指すのであれば、筆者と同じように、実際に身近な生き物を調査してみることです。


・本を読んだ → 体験してみた・聞いてみた・調べてみた → 学んだ


「じゃま=嫌い」と、短絡的に物事を考えるのではなくもう少し相手を知ろうという気づきや思いやりにまで深められればいいですね。