2022年 青少年読書感想文全国コンクールの課題図書を紹介します。今回は高学年編(5・6年生)です。
『りんごの木を植えて 』
・大谷 美和子 作
・白石 ゆか 絵
・ポプラ社
本の紹介
ガンの転移が見つかったおじいちゃんに、病気と闘ってほしいとみずほは訴えます。けれどもおじいちゃんは延命のための治療はせずに残りの人生を豊かに生きることを望み、貫きます。おじいちゃんのやわらかい関西弁、うつろう季節の描写が成長していくみずほを優しく包み込みます。
読書感想文の手がかり
・みずほのおじいちゃんの選択についてどう思いましたか?
・みずほをはじめとする家族の接し方についてどう考えましたか?
・おじいちゃんはみずほに何を伝えたかったのでしょう。
・一番印象に残っている場面はありますか? それはなぜですか?
・表紙とタイトルから何か考えることはありますか?
もしかすると身近な人の死を経験した人がいるかもしれません。生き方・死に方という難しいテーマですから、すぐに答えが出なくとも構いません。とことん考え、文章にしてみましょう。
『風の神送れよ』
・熊谷千世子 作
・くまおり純 絵
・小峰書店
本の紹介
「コト八日行事」とは、長野県で四百年続く伝統行事。特徴的なのは、子どもたちが中心となって執り行うところです。最初は面倒がっていた優斗ですが、リーダーの予期せぬ怪我がもとでリーダー代役となることにより、成長を遂げていきます。ていねいな描写が非日常の雰囲気をよく伝えていて、読みやすい一冊です。
読書感想文の手がかり
・自分がリーダーになって、大変なこと、辛いことはありましたか?
・一方で、自分がリーダーになって、やりがいを感じた瞬間、達成感を味わったことはありますか?
・優斗に共感できるところ、できないところはありますか?
・伝統行事に参加したことはありますか? それはどのような行事ですか?
・一番印象に残った場面はありますか? それはなぜですか?
高学年になり、リーダー役を引き受ける機会が増えてきたのではないかと思います。分かりやすい成長物語ですから自身の成長と併せて感想文を書いてみましょう。
『ぼくの弱虫をなおすには』
・K・L・ゴーイング 作
・久保陽子 訳
・早川世詩男 絵
・徳間書店
本の紹介
ゲイブリエルにはこわいものがたくさんある。なかでも5年生に進級することが最も恐ろしい。タチの悪いいじめを先輩から受けるからだ。親友のフリータはゲイブリエルの弱点を克服させるために奮闘しますが……。人種差別や貧困の問題が色濃く残る1976年を舞台にした物語。
読書感想文の手がかり
・あなたにとってこわいものは何ですか?
・どうすれば克服できると思いますか?
・実際に克服できた経験はありますか?
・一番印象に残った場面はありますか?
・人間にとってほんとうにこわいものは何だと思いますか?
一見かわいらしい表紙、しかし中身はかなり重いテーマを扱っています。ある程度時代背景を知るために、先にあとがきを読んでから本文に入るのもいいかもしれません。
『捨てないパン屋の挑戦 しあわせのレシピ』
・井出留美 著
・あかね書房
本の紹介
パン屋の息子の田村さん、じつは相当なパン嫌い。様々な土地に住み様々なお仕事をした後、実家のパン屋さんに戻ってくるという異色の経歴の持ち主です。食の安全、食品ロス、働き方改革など多くの問題を抱えてはいるけれど、田村さんが紆余曲折を経て導き出した答えはシンプルなものでした。パン業界の常識を覆す「捨てないパン屋」さんを描いたノンフィクションです。
読書感想文の手がかり
・食べものを粗末にしてしまった経験はありますか? 「無駄だなあ」と思ったことはありますか?
・食品ロスについて、自分でできることは何でしょう?
・田村さんのやり方から学べることはありますか?
・印象に残っている場面はありますか? それはなぜですか?
フィクションものの中でも、身近な素材を扱っているため自分のこととして捉えやすいと思います。
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