2023年 青少年読書感想文全国コンクールの課題図書を紹介します。今回は高学年編(5・6年生)です。

『ふたりのえびす』
・高森美由紀 作
・フレーベル館
本の紹介
過去と本心を隠しておちゃらけキャラを演じ続ける太一と、周囲から王子キャラを押し付けられる優希。二人は「えんぶり」でえびす舞を踊ることになるのですが……。時にはぶつかりあいながらも、正真正銘の自分を見つけ出してゆく物語です。
感想文を書くためのアプローチ
・太一と優希はそれぞれどのような少年として描かれていますか?
・あなたは自分でどのようなキャラだと思いますか? 友だちからはどんなキャラに見られていると思いますか?
・キャラをぬいだあなたは、どのような人物ですか?
・キャラを演じるのは良いことだと思いますか? それとも良くないことだと思いますか?
・あなたの地域には、子どもが参加する伝統行事がありますか? 参加したことはありますか? それはどのような伝統行事ですか?
長編ですが、コミカルにテンポよく書かれているので読みやすいです。「えんぶり」の動画を見ることで、イメージが鮮明になるでしょう。

『5番レーン』
・ウン・ソホル 作
・ノ・インギョン 絵
・すんみ 訳
・鈴木出版
本の紹介
多くを犠牲にして水泳に力を注いできたカン・ナル。しかしライバルの台頭に苦しみ、些細な、しかし彼女にとって大きな過ちを起こしてしまいます。スポーツ、友情、初恋、成長など青春要素がもりだくさん。透明感ある絵も瑞々しく、読後爽やかな気持ちになります。
感想文を書くためのアプローチ
・あなたにはライバルがいますか? 人に負けてくやしい思いをしたことがありますか?
・ナルの過ちについてあなたはどう思いましたか? もし自分がナルの立場だったらどのような行動に出ましたか?
・この本には多くの登場人物が出てきましたが、その中で自分に似ているタイプの子はいましたか? どんなところが似ていますか?

『魔女だったかもしれないわたし』
・エル・マクニコル 作
・櫛田理絵 訳
・PHP研究所
本の紹介
過去に行われていた魔女裁判ーーアディはその事実を知り、魔女に仕立て上げられて理不尽に殺されていった人々のために慰霊碑を作ろうと考えます。人とちがうことに不寛容な担任、自閉的なアディを受け止める家族や親友、さまざまな人との関わりの中で成長してゆく少女の話です。「わたし」の視点から描かれているため、彼女がいかに大変な世界で生きているのかよく分かります。
感想文を書くためのアプローチ
・あなたは人とちがうところがあるために、苦労したり嫌な目にあったりしたことはありますか?
・アディを取り巻く環境についてあなたはどう思いましたか?
・アディの強いところはどこですか?
・このお話を通して、これからの社会はどうあるべきだと考えましたか?

『中村哲物語 大地をうるおし平和につくした医師』
・松島恵利子 著
・汐文社
本の紹介
医師の中村哲先生は、戦争や干ばつで苦しむアフガニスタンの人々を救うために、井戸を掘り、用水路を作り上げました。昆虫が大好きだった幼い頃のエピソードから、凶弾に倒れる2019年、そしてその後のことまで描かれた、たいへん読みやすい伝記です。大人の方にもぜひ読んでもらいたい一冊です。
感想文を書くためのアプローチ
・あなたは中村哲先生を知っていましたか? また、アフガニスタンという国を知っていますか? この本を読んで新たに知ったことは何ですか?
・中村哲先生の生き方について、あなたはどのように受け取りましたか?
・本に掲載されているたくさんの写真を見て、何か思うことはありましたか?
・アフガニスタンと日本の生活の違いで何か考えるところはありましたか?
・この本を読んで、あなたには何ができると思いましたか?
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